2005年3月のお手入れ品

修復の限界

振袖の切れている袖分

創業以来、お客様のご希望には出来る限りお応えしてきました。他の呉服店で“とても無理”と断られたお品物も、半分意地になって知恵を絞って直してきました。

しかしながら今回は、袖を切った振袖を、どうしても元に戻してほしいという依頼です。

前代未聞の上に、切った袖分のうち一箇所は、どういう訳か縦にも切れています。

熱意に押されてお受けしたものの、果たしてこれが元に戻るのでしょうか。

加工後

袖部分修復後

信頼する職人と向かい合わせで、真剣に考えること数日。出した結論は、柄(青海波)を足して金の霞を置き、その上下と計3箇所の霞をいれるというものです(各袖すべて)。縦に切れた部分は、下前の身頃と入れ替えました。

この加工の何が難しいといって、足した柄の色合わせほど難しいものはありません。本体は30年以上前の染料と金箔ですが、袖の朱の部分はつなぎ目(金の霞)の上下で、ほとんど見分けがつかないほど時代を合わせてあります。

仕立てあがった品物を衣桁にかけて、ふっと見ると、自分でもどこがつなぎ目か分からなくなるほどの出来栄え。この職人の技量は、天才に限りなく近いものがあるように感じます。

そんな技術に触れられる私は 幸せ者かもしれません。

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