2005年11月のお手入れ品

汗の仕業

汗で腐食した訪問着

きものを着た時、脇に汗をかいたまま放置しておくと、茶色い変色を招いたり穴が開くということは、以前にも取り上げました。(“汗の変色”をご覧ください)

その題材は白地の小紋でしたので、ご覧戴いた方々の中には“私の着物は濃い色だし、万一の場合でも目立たないから大丈夫”と思われた方も、きっといらっしゃったことでしょう。

さて、左の写真は黒地の訪問着ですが、胸の部分の仕付け糸で囲った所の中に、縦に白いものが見えます。汗の塩分で絹が腐食し、裏地の白が見えているのです。

油断は大敵!大切な着物ですので、裏から黒い布を当てるだけでは能がなく、何か名案はないかとのご依頼です。放っておけば穴は広がる一方、まず、残っている塩分を取り除く作業に取り掛かりました。

加工後

柄足し加工後

いろいろ考えた末、穴の部分は縦に開いているので、裏打ちした後に衿と同じ柄を足すことにしました
穴の開いた所には、いくら上手に裏から当てても、穴の段差が残ります。それゆえ、金の箔で笹の葉を描いてその段差を埋め、柄のイメージを出来るだけ近づけました。

最近、着物リフォームでよく言われる柄足しという言葉、一見すると簡単そうに見える技術ですが、柄の流れと線の勢い、配色の色合わせ等々きめの細かさが不可欠です。

描き足したことが明らかに分かるようでは、センスが疑われますので、実際、どの職人でも出来るというものではありません。

私は、巡り会ったこの職人さんをこれからも大切にしていきたいと、常々思っています。

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