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2006年11月のお手入れ品

柔らかな柄

黒留袖扇面散らし

結婚式の時に使う黒留袖、以前は別誂えが大変多く 縮緬の白生地を仮縫いし、青花(露草の花の汁)で下絵を描き 友禅を施し 黒を染めていました。

その図案を決めるときは 数多くの見本帳の中から お客様と一緒にお好みの柄を選んでいたのです。その見本帳(黒白写真)は 今でも大切に保存してあり 呉服屋にとってはバイブルのようなものです。  

さて、左の写真は その見本帳にありそうな 扇面散らし模様黒留袖縫箔。友禅、刺繍、金箔とも 第一級の仕事がしてあり 現在でも十分通用しますが 三輪屋の眼で見てみると 何か足りないような気がしてなりません。
お母様から受け継いだお客様も 同感で イメージを崩さずに 一味加えて欲しいとの事。

さて、どんな加工を施すのが 自然でしょうか。皆様は もうお分かりと思いますが・・・・。

加工後

扇面留袖型箔加工

扇と扇の間には 余白とも言うべき微妙な空間が存在しています。つまり、 開き具合の異なるものをバランスよく配置していますが 遠近感に やや欠けるように思えるのは 私だけでしょうか。

今回は 普通の金砂子の箔ではなく 形を持った“型箔”を 配置してみました。型箔自体も 遠近感を持っていますので 扇面を避けて蒔くと 遠景、近景がはっきりしてくると同時に 固かった柄全体に柔らかな調子が出てくるように思います。

こうして出来上がってみると ただ、箔を蒔くだけの簡単な作業と思われがちです。しかし、実際は その位置、数、大きさ、粒の種類、色調など、店の本質が問われる 一時も気の抜けない加工なのです。

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