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2008年3月のお手入れ品

春のめばえ

訪問着春の草花

寒かった冬も ようやく通り過ぎ あちこちに 春の兆しを感じるようになりました。着物の世界も 春を題材にしたものに 変わります。

さて、左の写真は 30年ほど前 私の父が 別誂えで ご用命を受けた訪問着です。後ろ身頃に柄がないのは つけ忘れたわけではなく お客様の たってのご希望でした。

しかしながら 時が過ぎ この訪問着も 御親戚の方が袖を通すこととなりましたが、後ろから見ると 無地にしか見えないことが どうも残念でならないとのことで 後身頃に 柄を足すこととなりました。

でも、ご覧のように 地色は大変に濃い状態です。はたして うまく 柄を乗せることが できるのでしょうか。取ってつけたようになったら どうしましょう。 

加工後

訪問着春の草花 加工後

同じ模様を付けるとしても その大きさは?高さは?接続をつけるかつけないか? 等々 決めることはたくさんあります。しかし、 こげ茶色の上に描き足すわけですから 寸分違わぬようにするのは不可能に近いと予想し あえて接続を付けずに 左後ろ身の真ん中あたりで 留めました。

さすがの私も 完成までは ちょっと心配しましたが 出来上がりを見て 仰天。模様の中は そのタッチまで 瓜二つです。異なるのは 囲んでいる雲取りの色のみでした。

幸いに 人の記憶は意外とあいまいで この着物を身にまとうと 間に無地場があるだけで 違和感がなくなるから不思議。

眠っていた大地から 春の草が芽生えたようになりました。
まずは 一件落着でしょうか。

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