2017年9月のお手入れ品

裄直しのひと手間

絵羽汚れ

女性のご体格は、時代と共に大きく変わってきました
平均身長の伸びと共に、御手の長い方も増えました。

着物の身丈は、おはしょりが少なくなるものの、まだ我慢できます。
しかし、裄の短さは手をすくめたぐらいではカバーしきれません。

今回は裄出しのご依頼です。製作から四半世紀の品。
時の経過が、白地の袖の縫い込み部分にくっきり出ています。

縫うラインは 3センチ外側。
さて、どうしましょうか。 

加工後

縫い込みの汚れを除去した袖

この汚れは意外に手ごわい。この道40年の実感です。
私は肩部分だけでも気になりますが、袖巾にも出ていたらもうアウト。

巷では仕上がってからあわてて職人さんに持ち込む方もあるそうですが。 それはそれは手間がかかって大変と、職人さんの弁。
たとえ縫い筋の折れだけでも、霧吹きとアイロンでは消えず、跡が残ることも多いのです。

何が困るといって、その筋は文庫紙を開けると目に前に出現、着ればお顔のそば。 あらかじめ予想して、ひと手間かけるのが我々呉服屋の役目と思うのです。

下準備さえしておけばなんの問題もありません。
職人さんの高い技術で汚れはすっかり除去。
呉服屋さんはある意味、宣教師かもしれません(笑)

呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者   三輪 一夫

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