2002年12月のお手入れ品

柄の活用

小紋訪問着

白地の着物の場合、時間の経過や保存状態によって黄ばんでくることがあります。
小さいものは、しみ抜きで対処できますが、湿気等によって広範囲に広がっている時はそれも困難で、残された方法は地色全体に色をかけること(色揚げ)となります。

左の写真は、薄紫の小さな花をバックに垣根の模様の付下げ訪問着です。黄ばみが広がっており、このままではお召しになれないでしょう。

柄を伏せての色揚げをご希望でしたが、この場合は上からかける色と背景の小花を調和させない限り、鑑賞に堪える着物にはなりそうにありません。他店ではほとんどが、柄を伏せてご希望の色を引くイチかバチかの一発勝負、リスクも相当です。私はとてもそんなやり方は出来ません。さて、お客様の信頼を保つ方法とは・・・。

加工後

紫地訪問着

今回の方法は ”試し染め”です。
この着物は腰揚げや袖の縫い込みがなく、生地を取ることが出来ません。また、衿丈も短くて掛衿の下を抜く必要がありました。そこで職人に頼み込み、抜いた20センチ程の生地で薄紫四色の試験染めをしてみたのです。

私も十分考えたつもりでしたが、お客様のご希望の色では薄すぎて、背景の小花とちぐはぐ。再度やり直しを経て、ようやく職人さんの提案した濃いめの色に巡り会いました。

"地色は薄め"という一般的な染めのセオリーとは反対でしたが、仕上がりは紫濃淡の地紋のある上品な訪問着になり、ご満足を頂きました。

完成まで丸一年、気の長い仕事です。

今年もお引立て戴きまして、ありがとうございました。お陰様で海外の方にもご覧いただいております。
来年も、より充実したページになるようがんばってまいります。皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

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