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2005年9月のお手入れ品

彩色直し

黒留袖鳳凰模様修復前

どんなに技術を尽くした着物でも 残念ながら時間の経過とともに 染料や箔が劣化してくることは 避けられない現実です。つまり 洗って 汚れを落とすだけでは 元には戻らない場合もあるのです。

修復を承った時、 製作された当初の状態に戻すのが パーフェクトな仕事です。しかし、色々な事情でそうもいかない場合もあり どの程度戻すかが問題となってきます。  

左の写真は お母様からの黒留袖ですが 黒の染料 金箔部分 白の胡粉 シミ等々 多くの問題を抱えていました。

この場合 どこまで修復するのが ベストでしょうか。

加工後

鳳凰模様修復後

まず、第一の問題は どのくらい費用をかけるかということになります。
価値の無い品物に お金を使っても意味がありませんが 反対に 節約して中途半端に修復しても 逆に 傷んだ部分が目立ってしまい 作られた方への感謝の気持ちが 伝わらないような気がしてなりません。

さて、今回の修復の各作業は それぞれベテランの職人に依頼しましたが その人たちに共通するのは 難しい仕事になればなるほど 信頼関係が全てということです。いきなり 工賃を提示しても まず 受けてもらえません。信頼して”任せる”ということで 今まで どのくらいの困難な仕事を こなしてきたことでしょうか。

この留袖も 黒の色揚げ、しみぬき、金箔と白の胡粉等々 どれひとつとっても劣らぬように 常にバランスを考えて 加工を施しました。

お客様からも お任せいただいた結果、 右の写真のように 黒の色 鳳凰の彩色の冴え、金の霞など全てが すっきりと蘇りました。

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