2006年6月のお手入れ品

泥はねとの格闘

小紋着物の泥はね

雨の季節が近づいてきました。着物でお出かけの時、あらかじめ雨コートをお持ちならば問題はないのですが、夕立などで駅から小走りに自宅にお帰りの際、たどり着いてほっとしたのもつかの間、えもん掛をみて仰天なんてことがよくあるのです。

左の写真は小紋着物ですが、後身頃全体に無数の泥はねがあがっています。私も 150までは数えましたが・・・。

そして今は本当の泥(土の意味)ではなく、ほとんどが車の油シミなので、そう簡単には取れないのです。

この泥はねのついた着物を、さっとくぐらすだけできれいになる魔法の液体があればいいのですが、世の中、なかなかそうは行きません。そこで、泥はねVS職人の格闘の、はじまりはじまり。

加工後

泥はね浸み抜き後

泥はねの濃さも一様ではないため、極端なことを言えば、洗ってすすぐ作業を染みの個数だけ繰り返すこととなります。

中途半端な作業はムラになるだけでなく、後で薬品焼けを起こすことも多いため、絶対に禁物です。
と、口では簡単に言いますが、実は職人の技術ばかりでなく、その気力が問われる仕事なのです。

ずば抜けた腕は信頼しているものの、やはり難しい仕事の仕上がりを確認するのは、正直なところ心配もあります。

しかし、仕上がりを問うと、最近使わない「ばっちり!」なんて言いながら、涼しい顔で誇らしげに受け渡しをする昔気質の職人の姿を見ると、私の肩の荷がまた下りるのです。

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