2014年12月のお手入れ品

地味な作業

薄藤色ぼかし小紋の両袖丸部分

早いもので、2014年の暦も最後の頁となりました。新年は平穏で無事を願いたいものです。

今回の写真は袖の丸み部分、目を凝らしてご覧ください。
(左右対称で、真ん中の白は端縫い糸です)

品物は正絹縮緬で薄藤紫系多色のぼかし染め小紋です。優しい上品さが漂いますが、お好きな品は汚れも激しいのが現実。

右糸印の丸み部分は染めの上に茶色の汚れ。左糸印の丸み部分は、縫い筋がくっきり見えています。
洗い張り後の一部分ですが、果たしてこのまま仕立てをしても良いのでしょうか。

加工後

袖丸部分のしみ抜きと色の補正後

2013年の最後を飾るにしては、とても地味な加工です。拍子抜けされた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、これは技術とセンスが欠かせない重要な作業なのです。

仕立てたままでは、縫い目にかかった汚れはなかなか落ちません。無理に擦れば生地が傷むのが関の山です。

右の部分の茶色シミは、抜くと地色まで抜けてしまうのです。当時の染料などあるわけもなく 職人さんの勘が全てです。
手間をかけ、平らな状態できれいになれば縫製後の心配など無用です。

今年もご覧いただきありがとうございました。
皆さまにとって、来たる年がどうか佳い年になりますように。
またお目にかかりましょう。

  

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