2001年3月のお手入れ品

丸帯の不思議

塩瀬染め帯

左の写真は、関西のお客様から宅配便で依頼を受けた品です。御祖母様の形見の染め帯ですが、昭和初期頃の品物で半巾帯としてお使いになっていたようです。

紫地に雰囲気のある模様が描かれていますが、よく見ると太鼓の柄が逆さまになっており、このままでは普通締められません。これは、「丸帯」という両面使いの帯の片側だけを切り、裏を付けたものです。

丸帯を美容院で締めてもらうと「この帯は柄が逆さまに付いていて、変だ」と言われることがままあるそうです。正しい締め方は太鼓の柄に裏のたれ先(下の狭いところ)を合わせるのですが、不勉強を棚に上げて責任をお客様になすりつける始末。締めるときに太鼓を引き抜かなければ、ちゃんと柄は出てきます。
今回の加工は、洗った後に裏地分を同色に染めることから始まりました。

加工後

染め名古屋帯

当店ではリフォームを承りますと、まず見積もりをお出ししてから取りかかっております。

しかし、解いてみて初めて中の様子が分かることも多く、判断の未熟さと心苦しさを感じます。

今回も、縫い跡が予想以上に白くなっており、色はけをして出来るだけ目立たぬようにする作業が必要となりました。 そして名古屋帯になるように生地を接いで柄の位置を調整し、仕立て上がりました。

リフォームは決して万能ではなく、また費用と時間のかかるものです。しかしながら、思い出深い品物をお客様とよく相談の上で加工すれば、次の世代まで伝えられるかけがえのない品物となってよみがえるでしょう。

呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者   三輪 一夫

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