2001年7月のお手入れ品

比翼を活かす

振袖白比翼付き

左の写真は今から30年ほど前にお誂えした、綸子ピンク地花の丸模様振袖、白羽二重比翼付き2枚重ねです。

比翼仕立ては下着の簡略化されたもので、慶弔の際の身を清める意や防寒等々、諸説あるようです。この白羽二重は正絹ゆえに、時が経つにつれどうしても黄ばみが出てきます。(生糸は本来 真っ白ではありません)

つまり繭に還る訳ですが、着物にとっては招かれざる客のようなもので、実はありがたくないのです。

今回も全体の彩色直し、箔直しと共に、何とかこの生地を活かせるよう工夫をしてみました。

加工後

振袖ブルー比翼付き

皆さんがよく使う「だて衿」(衿比翼)は、元々この総比翼の一部で、衿元のおしゃれに大切な役目を果たしています。

今回の場合は、柄のイメージから淡いブルーを選び、比翼を洗い張りして染めてみました。白の場合でも十分立派ですが、ブルーになると全体のグレードが一段と上がって引き締まった感じがしてきます。

このくらいの濃度でも絹の黄ばみはすっかり消え、新品に見えてくるから不思議です。

しかしながら、一見簡単そうに見える比翼の染めも、油断すると濃くなってしまうのでなかなか難しい部類に入ります。
染物はいつでも真剣勝負です。

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