香り、何と響きのよい言葉でしょう。
今から10年ほど前、振袖や訪問着で大正浪漫(ロマン)の柄が流行しました。どちらかと言えば配色は重く、文明開化の頃を連想させるような品物ばかりで、残念ながらあっという間に消え去ってしまいました。
左の写真は正真正銘の昭和初めの着物ですが、仮に八掛を取り替えたとしても、着物として着るのはちょっと無理があるのでは思いました。
そして、すぐに答えが浮かばない場合、「修業先の主人は、この場合何と答えるだろう」と想像することが多いのです。
さて今回はどんなお告げでしょうか。
その回答は羽織です。
羽織はコートと同様に大胆な柄がよく似合います。そして、歩くときに大きな柄が揺らぐ様子は、なんとも言えない風情があります。縞、手綱などは羽織やコートに好まれる柄で、国立劇場や歌舞伎座の前でしばしば見かけます。
今回も洗い張りをして、ぼかしの羽裏を付け、長羽織として甦りました。
春先や秋口、細かい柄の紬や小紋の上に羽織っていただければ、本物の大正浪漫の香りが漂うこと請け合いです。
さて、堀場のオヤジは仕上がりに何点を付けるでしょうか。
呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者 三輪 一夫
Tel&Fax03-3372-0573
mail@gofukumiwaya.com