着物に色をかける作業を私たちは「色揚げ」と呼んでいます。柄や定紋を糊で伏せ、染料が染み込まないように細心の注意を払いつつ、新しい色に染め上げます。
しかし地色にシミやムラがある場合、中間的な色をかけても隠しきれないことも多く、さてどうしたものかと困り果てます。そこで、最後の手段として黒地に染め変えようということになるわけです。
今回も、薄い青磁色は色やけでぼかし染めの様な状態。
「色の白いは七難隠す」と昔から言いますが、着物の場合は「黒」。
果たして今回は上手に隠すことが出来るでしょうか。
「色揚げ」では、染めた後に伏せ糊を取ると、柄の輪郭の外側に元の地色が残ります。これを新しい地色で埋めていく作業も大変重要です。
お客様にはご理解いただけないことも多いのですが、想い出のあるの着物を直すのは、新しい物を作るのと同じかそれ以上の手間と注意が必要なのです。
この訪問着は今から30年前にお納めした桐の模様で、ご覧いただいても分かるように刺繍がたっぷり入っています。
黒のパワーでどうやら難が隠れたようです。
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