写真は御祖母様の形見の羽織です。華やかなカトレアの柄を活かし、地色を変えて渋くしてほしいとのご依頼です。
ご覧いただいても分かるように朱赤の色がかなり強く、並の地色では負けてしまうでしょう。
いろいろ悩んだ末、思い切って得意の黒をお薦めしました。地色を染め直す場合、薄色が同じ系統で少し濃くなるのはまだ見当が付きますが、反対色の場合は想像するのも難しいものです。
加工には慎重な判断と共に思い切りも必要ですが、さてどうなりますか。
三輪屋のノウハウを駆使して無事に黒に染まりましたが、赤とのコントラストが強すぎてそのままでは少し無理があるように思えました。
それ故、縫い込みの中を使って色の違う箔の試し置きを行い、お好みを選んでいただきました。
結果的に三種類の箔をバランス良く配置し、衿は無地、羽裏はぼかしの遠山模様と決めて完成しました。難しいものほど、仕上がるまでにお客様との入念な打合わせを繰り返します。
甦ったカトレアの羽織、天上にいらっしゃる御祖母様にもご覧いただけたでしょうか。
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