最近多いご相談が「胴裏が薄茶色に変色していますが、しみ抜きできますか」というものです。残念ながら、この色はしみ抜きぐらいではびくともせず、ひどくなると表地まで変色させる悪さをするカビなのです。つまり、仕立て直しで取り替えるしかありません。
この裏地は「白絹(しろぎぬ)」と言い、織った後の仕上げに澱粉のりの様な成分を使っています。父親の話では、その昔、この生地を扱うと紺のズボンが白くなったそうです。
左の写真を見ていただくと分かるように現代の裏地の白色とは大違いで、ベージュに染めたような状態になっています。裄直しを承ったのですが、袖の仕立て直しをお薦めしました。
さて、その理由とは。
それは、裏地の胴部分の変色が軽くて袖裏だけ新しくすると、お召しになった時に新調した着物に見えるためです。
袖の振り口(右写真の白い所)は、皆さんのご想像よりはるかに目立つのです。ここが黄ばんでいると、どうしても時代がかって見え、逆に真っ白であれば胴が黄ばんでいるなどとは誰一人想像しません。胴の部分は見えないも同然なのですから。
もちろん全て交換するのがベストですが、ご予算等の事情もあることでしょう。
ただ、このサービスは他ではあまり聞きません。しかし私は、このような気配りこそお客様に喜んでいただけるものと確信しています。
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