赤ちゃんが産まれて30日ほどで、ご両親と祖父母様が一緒にお宮参りをする風習があります。
最近は何日目と言うこだわりは減り、気候のよい時を選んで神社にお参りする方が増えました。赤ちゃん本位は大変喜ばしいことです。
さて左の写真は、その時母乳がほとばしり、長襦袢を通って着物にしみ出してしまったものです。以前にも書きましたが、汗などの体液は成分が人それぞれ微妙に異なり、しみ抜きも難しい部類に入ります。
しかし放って置けば変質して、最終的に穴があくことも有るほど手ごわいものです。
部分的ならばしみ抜きだけで対応できますが、今回は範囲が大変広く、縫い込みにかかっています。 このままでは中まで完全に取りきれないと考えて、解いてしみ抜き洗いをする事としました。
反物に戻して洗った後、時間をかけて、しみの戻りがないかを入念に調べました。使った薬品も十分にすすいであります。難しいしみ抜きほど拙速は禁物なのです。
写真ではフラッシュの反射でムラに見えますが、実物はお客様が驚くほどの出来映えです。こうしておけば、いずれ七五三の時も全く心配ないでしょう。
このように難しい仕事を仕上げ続けていると、また、どこからか思わず頭を抱えるような品物が舞い込んできます。しかし、”弱ったなー”とつぶやきながらも職人さんと知恵を絞ると、たいてい一筋の光明が差し込んで来るから不思議です。
納品の時のお客様の喜びのお顔が、そのエネルギーになっているのでしょう。
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