模様を染める場合、柄の配色は地色と調和をとるのが一般的ですが、時々イメージと違う色が挿してある場合があります。
左の写真は垣根を背景として雲取りの中に菊と桐が描かれています。お嫁入りで作られて25年、写真では錆朱色になっている部分がどうも気になるので、何とか渋くしてほしいというご希望です。
変える必要のある部分は何ヶ所もあり、また、色に対するイメージはお客様それぞれ異なりますので、一度で全部直すのはリスクが多すぎます。
そこで下前の一つを試験的に変えて、ご了解を頂いてから本番に取りかかりました。
柄全体の量から比べれば変えたのはほんの一部分ですが、アクセントとなっていた色なので仕上がりはかなり落ち着いた感じとなりました。
このような加工(彩色直し)を施せるか否かは、ひとえに最初の加工がきちんとなされているかどうかにかかっています。今風の金箔銀箔をちりばめた模様では、とてもこうはいきません。
日本画の修復にも似ていますが、直す職人はアイディアは別としても、最初の染織家と同等かそれ以上の力量が必要ではないかと常々感じています。
日頃の積み重ねが大切なようです。
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