2003年8月のお手入れ品

仕立てのこだわり

今月は夏休みを頂きまして、リフォームのページは休ませて頂きます。

ウェブを公開していますと、しばしば仕立て代の問い合わせを受けます。仕立て工賃はリンクページにあるとおりですが、ほとんどの方が高いと思われるようで、見積もりを出すとそれっきり音沙汰なし。

仕立ては建築に似ているところがあると思います。大工さんが天井裏から見るのと同様に、着物を解いて裏から見ると手を抜いたところがすぐ分かります。
無名の店でも要所を押さえて丁寧に縫ってあるもの。また、誰もが知っている超有名店でも、仮縫いと見間違えそうなくらい荒い縫い方のもの。技術が稚拙で生地の耳が伸ばせない為、耳にびっしりと切れ込みを入れてあるものなど本当に様々です。

たとえば生地を裁断する場合、「追い裁ち」という大切なセオリーがあります。これは裁断のイロハのイですが、生地の向きによって光沢等が異なる場合があるので、前から後ろ(後ろから前)に向きを揃えて、裁ち合わせをするというものです。ところが、これが守られているのはごく少数で、小紋など端から裁断して縫っただけ、柄合わせなど全く考えていないものも多いのです。

世間では、洗い張り仕立て直しの場合、洗い張りした反物を、仕立屋さんに丸投げしているのがほとんどとも聞きます。しかし当店では、仕立てに出す前に一点一点汚れや傷の位置を確認して、隠せるものは隠し、衿が汚れていれば切り替えるなど入念に下準備をしています。

新しいものと同等以上に手間を掛けているものは、当然の事ながら、仕上がりも上手く行くものです。そして仕立ての巧拙は、文庫紙に入れてあるだけでもはっきり分かります。

着物は食べ物と異なり長い間持ちます。これからも呉服屋が笑われる事の無いよう、精進して行きたいと思います。

呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者   三輪 一夫

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