左の写真は形見のお手入れで承った、つづれ名古屋帯です。たれ先に出ている ”見切り”と呼ばれる金の線は関西地方で作られた事を想像させ、また、前の柄が左手に付いていることでも西日本を連想します。
この帯はかなり締めてあったので表面が少し汚れていました。また、お客様は右手がお好みのようで、もう少ししっかりとしたお太鼓をご希望です。
そして東京では見切りの線は隠すのが一般的です。
さて、全てを一度にクリアする方法は存在するのでしょうか?
つづれ帯の特色は、柄の向きが左右反対になるものの両面が使えることにあります。まるで鏡に映したようになるので、ちょっと雰囲気が変わり面白いのです。
この帯も解いて洗った後、裏返して両耳をかがりました。もちろん見切りはずらして隠し、太鼓だけ薄い芯を入れてご希望に沿うようにしました。
“前の柄はどうなったのですか”というご質問を持つ方は、上の写真をプリントアウトして裏からすかして見ていただければお分りになるでしょう。
最古に近い織物の綴れ帯、誰が考えたか知りませんがそのアイディアに頭が下がります。
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