皆様は帯を締める時に、たれ先をどのくらいお出しになりますか?短いとバランスが悪く、長すぎても間が抜けている為に、お太鼓の大きさに合わせて感覚的に調整する方が多いと思います。
ところで帯は、たれ先の10センチほど上にお太鼓を合わせる界切り線がついています。現代ですと、あっさりと線1本のことが多いのですが、思い出の品の中にはかなりダイナミックに区切ってある品物も見かけます。
左の写真は更紗の名古屋帯ですが、たれ先が短く、しかも両面に界切り線が付いています。普通に締めれば隠すべき線は見えてしまい、その上、柄の出方もいまひとつ。
一般では仕方なく元通りに縫うのでしょうが、私はどうも気になります。ちょっと工夫してみました。
解いてみたところ、たれ先の折り返し部分は傷んでいたので、ずらしてもこの位置では使えません。その為、柄ひとこま分を大きくずらして、元の界切り線を帯の中に隠れるように見積もりました。(右の写真は仕立品で お太鼓を上に大きく上げてあります。)
偶然にも、お太鼓とたれ先で上手く柄の合う位置が見つかりました。そして、不足しているお太鼓の裏側には、クリーム色に染めた生地を足してあります。
こういう工夫も、全てが職人さん任せでは浮かんでくるはずもなく、時間と手間をかけてじっくり考えた結果の産物です。
すっきりした帯となってホッとしました。
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