着物の中で重要な位置を占める”八掛”(はっかけ=裾布)
その名前の由来は、8枚(実際は10枚)に分かれているからだそうです。どんなに素敵な着物も、この選び方ひとつで台無しになってしまうこともあるくらい、大切なものと教わりました。
左の写真はお祖母さまの羽織です。お孫さんがこれを何とか着物で着たいとのご希望で取り掛かることとなりました。2000年7月にも取り上げましたように、裄や身丈、身巾等、クリアしなければならない問題は山積しています。
さて、何から取り掛かりましょうか。まずは胴はぎ、 それとも・・・・?
数多くの難問をクリアした末、この着物の場合は八掛の色次第で仕上がりが大きく左右することが予想されました。
アクセントになっている紅葉の色をより引き立たせたい。そんな気持ちで朱色系のぼかし八掛を選んでみました。(見えているのは袖口です)
地色が薄色の場合は胴裏と八掛の境目が表に映ることがあるため、ぼかし八掛が無難です。
仕上がりを想像しながら全力で作業を進めていった結果、右の写真に何とかたどり着くことができました。
リフォームは小さな決断の積み重ねで成り立っています。