2006年7月のお手入れ品

暖簾から帯

麻上布

夏といえば麻、見るからに涼しそうな雰囲気を醸し出している織物です。左の写真は、その麻(上布とも言います)で織り上げた暖簾です。

お客様がお土産として購入された品ですが、ふと、帯にして締められたら素敵ではないかと考えられ、承ることとなりました。

しかし、帯にするには全く生地が不足しています。見当違いの生地を足すわけにも参りませんし、特殊な品ですから着尺1反12メートルを仕入れても残ります。
必要な長さだけ使って、残布をお客様にお返ししても困るでしょう。

果たして似たような生地が必要な分だけ手に入るのでしょうか。

加工後

上布作り帯

2年ほど前、ふとしたことから希望の長さの生地を調達してくれる取引先が見つかりました。今回も暖簾の端の始末してある部分を切って送ったところ、ほぼそっくりの麻布を見つけてもらえました。

生地があれば、もう出来上がったも同然。あとはどこに柄を出すか、どこで接ぐかということだけです。しかしながら事はそう簡単ではなく、上の写真の左右どちらがお太鼓にふさわしいか、上下はどちら向きが自然か、中心はどこにするか、たれ先はどこから取るかと、私が判断しなければならないことが次から次へと浮かんできます。

そして勇気の要る裁断を経て芯の厚さも決め、仕立て屋さん経由で右の作り帯の出来上がり。

足し布のお陰で南国の味が出たようです。

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