最近の帯はお客様の体格の変化に合わせて、ずいぶん長くなりました。変り結びをする振袖用帯などは、なおさらです。
しかしながら、時代の帯や昭和30年代に製織されたものは、現在よりより30センチ近く短い品をよく見かけます。
丈が短いとそのしわ寄せが、お太鼓の大きさや内側のたぐり(立ち上がり)手先の長さに響いてきます。
左の名古屋帯はお形見の未仕立の品ですが、界切り線の通りに仕立てると普通の方でも手先分くらい短くなってしまうのです。
お太鼓の左右に縫い代がある帯はともかく、このようなかがり帯の場合は帯巾の関係で同じ巾の足し裂を捜すことは大変困難です。
さて、解決法はあるのでしょうか。
帯のたれ先は、共柄を出す場合と地色の無地を出す場合の二つが考えられると思います。
お太鼓からたれ先へ柄の接続があるときは別として、このような小付け柄の場合は思い切って無地を出してみるというのも一つの方法です。
結果としてお太鼓が引き立ち、すっきりとした帯になることが多いのです。
右の場合は、たれ先でつながっている裏地を表にスライドしてたれ先としました。そのために裏の返り分が不足しましたが、帯枕と帯揚げのかかる三角の部分あたりが一重になっただけなので外観には影響なく、帯丈は長くなりました。
出来上がった帯を文庫紙に納めながら考えてみれば、これも修業中に教わったこと。
年月が経つほどに ありがたく感じています。
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