吉祥をもたらす尊い聖獣「鳳凰」、古く中国で好まれ慶事には欠かせないデザインです
左の留袖は、おそらく製作から半世紀は経過した品物と思われます。故あって今回、修復を承りました。
お祝いの花「橘」を咥えた鳳凰が、「花」の字をくずした形に染められているすばらしい構図です。
傷んでいる所も少々見受けられますが、さて、当初はどんな雰囲気だったのでしょうか。
写真では判りませんが、時間の経過により地色の黒が色あせています。そして白地の部分には茶色のシミがあり、取りきれない所もありました。 また、箔の変色(黒ずみ)も見受けられました。
それゆえ、柄を糊で伏せて黒を引きました。また、生地の傷まない範囲で汚れと箔を落とし、金銀箔で化粧直しを施しました。
色々と考えて、たどり着いた結論でしたが、当初の雰囲気を損なわず、後ろ身頃に、よりボリュームが出てきたようです。
思い起こせば、ホームページを開設して間もなく「よみがえる50年前の留袖」という題材がありました。(2000年2月)
比較すると画風は全く異なりますが、当時の職人の力量のすごさを再認識した作業でした。
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