お父様の男物大島着物を、女物に直して着てみたいというご依頼を受けました。洗い張り後、渋めの八掛を付けて仕立てます。
その当時のお父様方は帰宅後に着物に着替えてくつろぐと、胸元にシミをつけることがよくありました。
ご多分に漏れず今回も、仕立て前に右胸に茶色の変色を発見。しかし帯下に入るため、そのまま仕立てました。
完成後、検品の為に広げてみると、帯に隠れるとはいうものの、どうも気になります。
任せて頂いた仕事ですので責任は重大。さて、どうしますか。
皆様のご意見の大勢は“浸み抜きすれば”でしょう。しかしながら、大島の浸み抜きと色の補正は、そう容易ではありません。 また、帯の下ですので色を挿した後、十分に定着させないと帯に色が移る心配があります。
そこで、またまたいつもの染色補正士さんが登場。
泥染の色は特殊なため、化学染料ではなかなか補えませんが、目立たない程度に修正して事なきを得ました。
ただ、こういうときも品物が飛んで行くわけでもなく、直接、職人さんの元に持って行って相談するわけで、正直なところ手間も時間もかかります。
かかる費用も勘案すると二者択一で悩むことも多いのですが、お客様のお父様の気持ちになって考えると自然に答えが出てくるようです。
呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者 三輪 一夫
Tel&Fax03-3372-0573
mail@gofukumiwaya.com