暑かった夏もどこへやら、このところ朝晩冷え込むようになってきました。
季節は暦通りに粛々と進んでいるのと同様に、着物の世界も上に羽織るものが欲しくなる季節です。
左の写真は、お手持ちのコート。お作りになられてから20年ほど過ぎ、派手になってしまったので渋く直したい。今も、そしてこれからしばらくの間も使えるような色でというご希望です。
世間では最も容易な作業と思われている色揚げですが、本当にそうでしょうか。
今、こうして原稿を書いている時に“いろかけ”と打ち込んだところ、偶然「色賭け」と変換されました。あちこちでよく聞くような話です。
このページをご覧頂いている方は先刻ご承知でしょうが、無地の色かけ(色揚げ)ほど難しいものはありません。字画の少ない楷書のようなもので全くごまかしが効かず、色の選択に頭を悩ますこととなります。
そこで思い出すのが、師匠や父親から耳にたこが出来るほど聞かされた「定石」。同系(寒色、冷色も含め)の濃い目に持っていくのが無難なのです。
毎年発行されている色見本帳(各200色)の40年分から選び抜き、染め出して2ヶ月、手堅い作品になったように思います
とは言うものの、洗い、染め、仕立ての各職人の連携の賜物で、私は口だけですから困ったものです。
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