抜ききれないシミをカバーするために柄を足す作業。きもの通の方にはポピュラーな技術のように思われていますが、どっこい、柄の勢いや色調等、そう簡単ではないように思います。
左の写真は、制作から半世紀はゆうに過ぎた振袖の袖部分です。柄の丸みあたりにかなり手ごわそうなシミが見えます。
生地の状態によっては取りきれそうもない"シミ"。さてどのように柄を足しましょうか。
私の説明よりも、まず右の写真をご覧下さい。
袖の丸み部分に足した柄の伸びと色合わせで、見事にしみが隠れました。もちろん下準備の染み抜きが欠かせません。
しかし、不自然にならぬようバランスと色を考え、離れた部分の柄を取り入れて、あたかも当初から柄があったように描く作業は職人の修練の賜物と言えるでしょう。
本物の加工は、お客様と同様に私たちが見ても見飽きません。
今年もご覧頂きましてありがとうございました。来年も、より工夫した加工をお目にかけたく存じます。皆様、よいお年をお迎えください。
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