派手になった帯を太鼓の柄を半分ずらして締めている方を、時々見かけます。
名古屋帯に比べて袋帯は多少余裕があるので地味な部分を出せる訳ですが、急いでいる時はなかなか大変です。
左の袋帯は本来、大きな唐花部分が太鼓に出るように設計されていますが、それを隠して小さい花に替えて作り帯にしたいとのご希望です。
物差しの間あたりを新しいお太鼓とし、太い界切り線の上部分の市松をたれ先の模様にする。私に考えられる構成はこのようなものです。
果たして、縫い目のない本袋帯で限られた長さの中、こんな風にできるのでしょうか。
今回はさすがの私もちょっと緊張しました。何度もつもり直し、念のため親にも確認してもらい進めました。
前帯部分も直さなければ意味がありませんので、これまた工夫を施しました。
市松模様の下段がたれ先になり、前帯も小さめの花となり、上手な職人の手を経てようやく作り帯の完成です。
"裁断の際は何を考えているのですか" と時々たずねられることがあります。実は、修業中教わったご主人の姿を思い出しながら呪文を唱えているのです。
何を唱えているかって・・・、それはヒミツです。
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