書けば一言ですが、下準備ほど大切なことはないといっても過言ではありません。
染色では染める前の生地の検反であり、仕立ての場合は巾を揃えて生地の目を通す「湯のし」、紬の糊を抜く「湯通し」、そして仕立て職人によるアイロンの「地のし」。
では洗い張りの場合はなんでしょうか。それは、解いた着物を元の反物の状態に戻す「端縫い」です。 生地巾が全てそろっている場合は簡単ですが、前回の仕立ての都合で巾が欠けている場合は、別の布でそこを埋める必要が出てきます。
左の反物は軽く半世紀が経過していると思われる男物です。
足し布をすると同時に、破れていたり弱って薄くなっている部分に、似たような色の布を裏から当てる「裏打ち」を施しました。
洗い張りが済んだといっても油断は禁物です。時代の品の場合は生地がやわらかくなっている場合が多く、そのままではちょっと心配です。
そんな時は“裏から持たせる”、つまり、しっかりとした裏地を付けて裏側から支えるのです。今回は、最高級羽二重の刷毛縞の羽織裏地を選びました。
仕立て上がりからではとても想像がつかないような、細かい作業をする職人と私が力を合わせて、より着やすい着物になるようにいつも考えています。
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