2013年8月のお手入れ品

縁とつながり

荒れた天気が続いておりますが、皆様お変わりございませんか。
今月は夏休みを頂きまして、リフォームのページは休ませて頂きます。

ある日、新聞で偉大なる浪曲師「桃中軒雲右衛門」の復刻版CDが出たことを知りました。
近代浪曲の祖でありながら、ただ沼津の弁当屋の屋号を拝借した名前なのに、その後、芸名に軒や雲をつける者が続出したことでも、そのすごさがわかるのです。

私がこだわるのは 理由があります。
先々代(父方の祖父)三輪治一がとても懇意にしていた師は、一世を風靡した後に結核で体をこわし、極貧で43歳の生涯を終えました。臨終をみとった時の財産は、蒲団の下の10円札1枚だったそうです。

そんな縁で、是非その声を聞いてみたいとずっと思っていました。ネットで購入した翌日、メール便で到着。
古いSPレコードから採取した雑音ばかりの浪曲の、いったい何が面白いの?と思う方も多いでしょう。

これまた理由があります。私の母方の祖母は明治末期の生まれながら、浪曲狂ともいわれるぐらい浪曲が好きでした。
昭和10年頃、携帯型蓄音機(ゼンマイ手巻き)で膠のレコードを聞いて、感動してよく泣いていたそうです。
戦争中は竹の針で聞いていたのですから真の筋金入りです。
私が小さい頃、夏休みに田舎に帰ると、古いレコードが縁側に雨ざらしになっていました。

その時は、もちろん浪曲など知りませんでしたからゴミと同じでした。しかしそのレコードは、駅前のレコード屋さんが新曲が出る度に、自転車に積んで峠を越えて売りにきた品だったのです。
母も聞いた覚えがある曲を70年後、私がクレジットで注文し、翌日手元に届いて車の中で聞いている。
レコード盤が回っている時、周囲をドンドンと歩いて、針が飛んで叱られた思い出がある浪曲です。 当時からでは想像もつかないこの様子を知らせることができるなら、是非、今は亡き祖父と祖母に伝えたいものです。

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