暦も一枚となり 今年も押し迫ってまいりました。
今回は あまり見かけないリフォームをご覧に入れましょう。
男性がお持ちの 叔母様の黒共帯。
銀座筋の名店の文庫に入っていました。
縫い込みの中には「正絹」の文字。
右から書いてあったので 製作は戦前と思われます。
当時の喪服帯は繻子(しゅす)織が主流。
耐久性に乏しく 縦に裂けて使い物にならない品も多いです。
しかし、今回は漆糸入りの上質な品。
引っ張っても ビクともしないから さすがですね。
とは言うものの 残念ながら 男性には使い道がありません。
一旦はお断りしたのですが 帰りの車の中で アイディアが・・・
袴姿になる機会が多いことが 幸いしました。
男性用の角帯に仕立て直すのです。
でも 花柄が見えては使えません。
お手持ちの角帯を使って 精密に採寸し 見えない部分に花柄を。
手先とたれ先には 返り分と下巻きの無地を当てはめました。
一年の終わりに 喪の品は縁起でもないと思われる方もあるでしょう。
しかし、眠っていた品が日の目を見ることは この上もなく喜ばしいことで 末永く 使い続けられるに違いありません。
ただ、仕立て物で このようにカチッとした心を打つ直線を出すことは なかなか難しいものです。
洗い職人さん、帯芯屋さん、仕立て職人さんのチームワークの賜物と言えるでしょう。私は 旗を振っただけです。
一年間のご贔屓 ありがとうございました。どうか佳いお年を。
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