2018年4月のお手入れ品

繰り越しと縫い紋

紺地縫い紋着物

まさしく春の嵐のように過ぎ去った 桜の花。
今回は 加工の中でもかなり地味なものを ご紹介致しましょう。

左の写真は 紺色訪問着の背にある 金糸縫い紋部分です。
右半分は 紋を解いて消した後ですが 縫う前に描いた 胡粉の跡が残っています。

和装において 初心の方が理解不能なのが「繰り越し」
正面から見て 肩山の向こう側(背中側)に 衿の縫い目のラインが渡ることですが。

花嫁さん、芸者さんは 首の後ろに空きを見せるため 必然的に繰り越しも大きくとります。
今回は一般の方ですが 繰り越しとの関係は・・・。

加工後

紋の移動後

普通 首の入る部分(衿肩明き=白糸の綴じ部分)は 身頃の真半分の所にある 9センチの切り込みです。
仕立ての際は 衿肩明きを繰り越し分 背側にずらして衿を付けます。

そうすると ずらした分が余りますので 背中辺りで縫い込むのです。
今回の着物は 身丈を伸ばすことが最優先。
それゆえ その縫い込みに注目したものの 紋が邪魔でひと工夫。

紋の位置はふつう衿肩の切れ込みから2寸下(7.6㎝)今回は繰り越し分を足した2寸7分(10.2cm)で 再度縫い紋を入れます。
それを生かすために 現在より7分(2.6cm)下に もうひとつ衿肩明きを開けます。

そうすると ずらさずに身丈が7分(2.6㎝)伸びます。
縫い上げて着用すれば 見分けはつきませんのでご安心を。

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