京友禅で職人さんが、藍色の下絵の線に沿って糊を置いて縁取りしているシーンを、TV等で御覧になった方も多いと思います。 最初に糊で土手を作り、染料が外にはみ出さないように色を挿すのが定番です。
蒸して染料を定着させた後、糊を落とすと、当初の縁取りが白く残ります。それを金の線でカバーをして仕上げ、立体感を付けるのです。
左の写真は、年齢的には60代~70歳代の方ににお薦めする、優しい地色の吹き寄せ訪問着。
他店のお品ですが、時間の経過で”もう私には派手かしら”と言うご相談で、しげしげ見ると、友禅自体は上品なのに、やたらと亀甲花菱や扇面の金箔がピカピカしている不思議な光景。
これはやっぱり無理かと、裏側からも見てみました。すると・・・。
裏から見ると色のバランスはなかなか上等で、お客さまも納得です。
さて、これは一体どういうことなのでしょう。
詳しい理由は差し控えますが、思い切って金箔を全部落として、金仕上げ前の姿に戻してみました。
上前身頃に至っては、同じく大きな流水の外の縁全てに金駒糸の刺繍まで入っていましたから驚きです。
昔から言われる、「過ぎたるは及ばざるがごとし」
職人さんの感性に任せて強い色を修正した後、より上質な金泥で再度の仕上げを施しました。結果的に妙な派手さがなくなって、これでしばらくはお召し頂けるでしょう。
今まで、日本画の軸や額をたくさん見ておいて良かったと、つくづく思った次第です。
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