2019年9月のお手入れ品

博多帯の再構成

前部分に柄が出ない博多帯

暑かった夏も、秋雨の到来と共に彼方に過ぎ去りました。
となると、裏地のない単衣の着物の出番となります。

この時期に重宝するのが博多、代表的な単衣帯です。
長い間便利に使っている博多帯も、回数を締めれば当然傷むもの。
写真からも少々疲れた様子がわかります。

つづれ帯とは異なり裏返しは出来ませんが、洗って仕立て直しのご注文です。
その際にお客様がポツリ 「前に柄が出ないのよ」 と。
ん?

加工後

洗って再構成、仕立てした名古屋帯

織物は設計図を元にして作られています。
つまり製織当初の構想から、前部分(お腹の所)には柄が必要ないと判断されていたわけです。
加えて、たれ先やお太鼓の柄は下向きに弓なりになっています。
正直なところ、これはあまり美しくない。

解いてきちんと洗い、順送りの柄を再構成して仕立て職人さんへ。

使用頻度に起因する生地の柔らかさを考慮して、太鼓のみ薄い帯芯を入れてみました。
たれ先を無地にして前部分には柄を出し、何とかまとまったようです。
めでたし、めでたし。

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