年齢を重ねられたお母様が、お嬢様にご自分の訪問着をお譲りになる。 最近よく承るご相談です。
当時の品物の方が、現在の品より手が込んでいることも多いもの。
優れた染色技術は時代が変わっても光ります。
しかしながら、保存状態によってはそのままではお召しになれない場合があります。
左の写真は、色紙が白抜きの梅花に浮かんでいる、洒落た訪問着です。
ただ、上前(膝の所)の色紙の内外に、手強そうな茶色いカビが浮かんでいますが、さて・・・。
菊の花には丁寧な縫いつぶし刺繍も見受けられます。
ただ、茶色いカビの色はそう簡単には消えません。そのハードルはかなり高く、中途半端では再発するのが関の山。
幸いにも一回り大きく仕立て直すご希望でしたので、解いて表裏から入念に洗いました。 もちろん、腕のたつ職人さんの技術が欠かせませんが。
シミ抜きに伴う彩色の補正も丁寧に行い、すっきりした仕上がりとなりました。
再デビューですね。
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