2020年9月のお手入れ品

袋帯の右手と左手

袋帯花の丸左手

帯地は、柄の配置を十分設計して製織されています。

最も重視されるお太鼓、付随するたれ先、そして胴部分の前柄をいかにバランス良く出すか。

その際、大きな柄を付けると、前部分を二つ折りにした場合、約半分が隠れてしまいます。

それを避けるため、着付けの流儀に合わせて、胴に巻く前部分のみ、帯巾の左右交互につけることがあるのです。
左の写真は、普通に(右手で)締めると点線上の柄の少ない部分が前に出てしまう品(左手)ですが、さてどうしましょうか?

加工後

袋帯花の丸右手

本来ならば太鼓に合わせて黄色い花を出したいのですが、このままでは正面でなく右脇にずれてしまいます。

それゆえ、前部分約170センチを切り出し、お太鼓の柄の中心から約90センチに前の柄が来るように左右入れ替えて接ぎました。

その結果、花の丸が良い位置に出るようになりました。

とはいうものの、仕立て上がった帯を切って平らに接ぐのは、手間とハイレベルな技術が必要です。
しかし、お客様の喜びの声を職人さんに伝えることが、この仕事が可能になるポイントだといつも思っています。

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