2022年5月のお手入れ品

裁ち合わせの技術

赤地扇面小紋の裁断前

 ホームページを展開して、早いもので20年が過ぎました。
様々なご依頼をお受けしましたが、今回は最初、電話でのご相談から始まりました。

 お客様は洋裁がお手の物で、娘さんに見よう見まねで仕立てた宮参りお祝い着をプレゼントしたいとのご希望です。  しかし、着物の柄付けが大胆で、どのように裁断したらよいのか分からないとのこと。
反物の長さは8メートルと普通の3分の2、その中で大きな扇面は何処に出したらよいか。

 かつて修業先の主人から教わった裁ち合わせ方法をご説明しましたが、電話では難しいようで、ヤマト便で送ってもらうことにしました。

加工後

赤地扇面小紋を柄合わせ裁断後

 裁断だけのご依頼は初めての経験です。しかしながら、大切なお品物ですから特に慎重に進める必要があります。

 上の写真からもお分かりのように、布地は扇面、源氏車、波、雲取りの順送りの繰り返し模様。正直これは難しい。
 さて修業中を思い出すと、主人夫妻は毎晩、ひたすら着物の裁断を繰り返していました。見学していても最初はチンプンカンプンでしたが、見慣れてくるとその意図が自然に分かるようになるから不思議なものです。
 奥様の姿が浮かぶ中、これはまず両袖分を取り、その後に一巾の身頃を取るのがセオリー。その長さは和裁のテキストも参考にしました。
そして掛け着は背中が大切なので、扇面と波模様が右下に流れるように裁断してご返送しました。
私の裁断に天上のご夫妻は、さて何点を付けるでしょうか。

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