写真は、この時期に重宝する紬織の名古屋帯です。単衣の紬などにも良く合います。
しかしながら、お好きな物は良く締めるので傷むことが多くなり、前帯の二つ折り部分に穴が空いてしまいました。 染めの帯ならば裏打ちして箔などでカバーできますが、前部分には裏地が付いておらず裏糸も走っているため、糊で貼ることも難しそうです。
仮に貼ったとしても二つ折りを繰り返すうちにはがれる心配も出てきます。 そうかといって、ただ刺繍で埋めるだけでは、取って付けたような柄になります。
さてどう致しましょうか。
仮に刺繍を施したとしても、1色だけでは目立ってしまうに違いありません。
悩んだ末、職人さんのアイディアを使わせてもらい、色をミックスした糸で仕切りを作りました。色の調子と縫い方は職人さんのさじ加減そのものでマニュアルなどありません。しかも少し波を付ける芸の細かさ。
完成との知らせで職人さんの元に受け取りに行った時、ただただ、唸るだけでした。
違和感の無い、限りなく織物の雰囲気に近づけた刺繍の技で、お母様の帯がよみがえりました。目出度しめでたし
呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者 三輪 一夫
Tel&Fax03-3372-0573
mail@gofukumiwaya.com