皆さん同じですが、緊張すると思わぬ事が起こります。特に非日常の場面ではなおさらです。
左の写真は、お茶のお稽古の際に、茶碗をすすいだ水を移す建水に着物の左たもとが浸かったものです。
今回は浸かった部分が分かる程、くっきりと輪ジミが残っています。
そして、袖裏の脇にある白い布は新しい胴裏のサンプルで、比べるとカビによる袖裏の黄ばみが良くわかります。
さて今回、表から洗う作業だけで、シミは除去できるでしょうか。
その答えは、解いて洗った後に袖裏を交換した仕立て直しです。そして左右で袖裏の色が異なるのを避ける為、右袖も解いて筋を伸ばして仕立て直しました。
加工コストだけを考えたら、解かないシミ抜きとなるわけですが、お抹茶+半世紀近く経過した白絹のアクのシミは半端ではありません。
結果的に袖丸部分の縫い込みの中まで洗い切れるはずも無く、時間と共に変色が始まります。
3年後、5年後を考えると、心配が先に立つのは性分でしょうか。
茶道のお手前の手順により、左袖にしか起こらない今回の加工は、万全を尽くした次第です。
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