お嫁入り支度で作られた衣装を、ご子息やご息女の結婚式でお召しになる場合、サイズが足りないのは仕方のないことです。時間の経過も仕立て替えで十分に対応できるのが着物の長所の一つでしょう。
左の写真は蒔糊に竹の葉模様の重厚な黒留袖。お式直前のご依頼だったので、至急に洗って身巾を広く仕立てた品です。
寸法はお客様からのご指定でしたので、日限までに完成はしたものの、上前おくみ部分の縫い目(矢印)に色の差が出ています。
時間が全く足りないのでこうなりましたと、このまま納めましょうか。
そんな訳にも行かず・・・。
些細なことほど万全に、これが三輪屋の家訓です。
今回は、解いて洗ってご要望通りの寸法に仕立てるのが最優先でした。仮縫いをしている余裕などありません。
とりあえず、元の縫い筋と汚れを出来る限り落として仕立てを済ませ、仕上がりを入念にチェックして、金箔の不足部分を色を合わせて補正しました。たった一晩で。
と、口で言うのは容易ですが、加工に入る前に現品を持ちまわってそれぞれの職人さんに話を通しておく。そのひと手間が無事完成の大きな要因かと思います。
呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
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