金茶色系統に染まった品は、生地の劣化が予想以上に進んでいることがある。亡き父親からの言い伝えです。
特に夏物の絽や紗織の場合、隙間があるのでなおさらです。
ご依頼の品は紗織の丸帯鳥模様。重厚な刺繍を施した豪華な品ですが、普通に締めると写真のように太鼓の柄が逆さまになります。
夏の暑い最中の慣れない帯結びで、しかも紗織が劣化して脆くなっている状態。作り付け帯をご提案しました。
ところが生地の弱り方が半端なく、完成までたどり着くかどうか心配になりましたが、とりあえず裁断をして、仕立て職人さんに渡しました。
実は最初、加工は無理とお断りしました。
しかしながら、祖母の品で想い出があり、捨てるのは忍びなく数回でも良いから身につけたいとのお申し出です。
そこまでお考えなら、何としても陽の目を見せたくなるのが三輪屋のポリシーです。
職人さんとも十分打ち合わせをして、何とか仕上がりました。
出来上がって見ると、格調の高さは段違いでした。
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