しみ抜きが決して容易な作業ではないことは、これまでも再三お伝えして参りました。その時はきれいになっていても、2年3年経つうちに変色が起きることは巷でよく聞く話です。
しかしながら、それは私共には決して許されないので、しみ抜きにもひと手間掛けることがあります。
写真は付下げ訪問着の袖部分ですが、見るからに時間の経過したシミが鎮座しています。
シミと共に抜ける地色の再現に高度な技を要するグリーン系やブルー系でないのがせめてもの救いですが、ハードルは高そうです。
そこで工夫してみました。
工夫といっても私が自分で作業する訳ではなく、職人さんが如何にやりやすいようにするか。そこが今回のポイントです。
その答えは、袖の振り口(脇の下部分)を少し解くことです。
しみ抜き剤は浸透するので、裏地に通らないようにつまんで洗う必要がありますが、解いてあれは防水の為の板が入ります。
そうすればシミの除去も地色の補正も格段に容易になります。
ただ、作業後にその部分(10cmほど)の綻びを和裁士さんに綴じてもらうことが必要となります。
そこで私が伝票を付けて、改めて和裁士さんの元に運ぶと、全てがつつがなく完了するのです。
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