7月になりました。着物の世界は透ける絽や紗の出番となります。
写真はお母様から受け継いだ、見るからに涼しげな麻の上布ですが、身巾と裄が足りないため洗い張り仕立て直しをご希望です。
ただ、織に非常に手間の掛かる貴重な生地のせいか、繰越分の揚げ(後ろに5分=2センチ)しかありません。。
本来、洗い張りならば反物に戻すので、全部解くことからスタートするはずなのに、脇と袖付けが解いてあるのは何故でしょうか?
代わりの無い品物の為、解く前に京都の専門問屋に相談しました。その答えは「洗い張りは危険です」
というのは、麻は生地が固いために折れ目が筋切れしていることが多く、時間の経過した品はなおさらです。透けているため補強も難しく、結果的に丈も巾も詰めることになります。
加えて、繰り越し分の揚げだけでは、洗い張りして端のほつれを切り揃えると、身丈が確実に短くなります。
裾の始末を生かす為に、脇と袖付けを解いて入念に伸ばし、裄丈と身巾出しを施しました。慎重な作業が幸をもたらした次第です。
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