2025年9月のお手入れ品

理想と現実

繻子地袋帯白地若松模様についた藍色染料

暑い日が続きますので、今回は涼しげな帯をご覧に入れましょう。

写真はデリケートな繻子地の白地若松模様袋帯に付いた、藍色着物の染料によるシミ部分です。

生地に光沢があるため、単衣に映える帯なのですが、その分表面が傷つきやすく、染み抜きがとても困難なのです。

体温の熱、単衣の汗、(帯枕の)擦れの3つが揃うと起こる現象、さて何処まで取れるでしょうか。

加工後

裄と身巾を出した宮古上布。

今回は敢えて100パーセントでない加工をお目に掛けます。

ご覧の通り、何となくモヤモヤしています。屈指の腕を持つ職人さんは決して満足していませんが、擦れで繊維に捻じ込まれた染料は容易に抜けないのです。

生地の光沢は実に繊細で、強くブラシを掛けると表面が削れて、斜めから見たときに陰りが見えるため、慎重な作業が欠かせません。

昔から言う「あちらを立てればこちらが立たず」染料の除去と生地表面の両にらみという、大変難しい作業でした。

 

呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者   三輪 一夫

Tel&Fax03-3372-0573
mail@gofukumiwaya.com
無料相談会