空前の猛暑もようやく過ぎ去りました。今月は秋らしい色揚げをご覧下さい。
赤が派手になった小紋着物、大好きな模様なのでこっくりとした色に渋くしてほしいとのご希望です。
柄が少なければ安全運転で、糊で伏せて色揚げの方法を採りますが、総柄ではそうも参りません。今回の色見本は掛ける色では無く、おおよその仕上がりの地色のイメージを示します。
と、言葉で言うのは簡単ですが、一歩間違えると佃煮のようになりかねないこの加工、果たして染め職人さんが私の選んだ色見本の意図を酌み取って下さるでしょうか。
漠然としたイメージを具現化するので、試し染めなしではとてもやり遂げる自信がありません。染屋さんから送られてきた試験染めの小布を開封する瞬間は、今でも緊張します。
掛けた色はグレー系で、元の小紋の白場がくすんでいる部分からご想像下さい。結果的に元の赤色が強くて色見本とは離れましたが、幸いにも渋く収まりました。試し染めが少し濃かったので本番は薄めに調整しました。
元の小布を乗せて比較すると、地味にした加減がおわかり頂けると思います。
非常に心配した今回の加工ですが、職人さんの技に助けて頂いた結果、及第点に届いて大変喜ばれました。
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