2020年2月のお手入れ品

道中着から着物へ

縫い込みの多い道中着

洋裁には見られない和裁の特長の一つは、縫い込みでしょう。

余分を全て裁ち落して曲線を描く洋服と、次世代まで考えて内揚げを施す着物。
洋服の10倍は持ち、ママ振りが可能な由縁です。

写真は着物一反分(12m)で裏地を使わず仕立てた、小紋の道中着(打ち合わせ長コート)で、着物に直したいとのご希望です。
ふつう、コートや羽織を着物に直すことは困難ですが、縫い込みと余り布があれば十分可能です。

羽織から着物をアップしたのは、Web開設まだ間もない2000年7月のこと、それから比べれば大丈夫ですよ。

加工後

八掛を別染めした、仕立て直し小紋着物

今回の加工で一番助かったのは、縫い込みと共に生地の質がとても良かったことでした。
かねてから申し上げておりますが、リフォームは当初の生地と染め、仕立てが8割を占めます。 加工代を押さえてのおざなりな品は、いくら頑張っても満足できるところに辿り付けません。

一方、後のことも十分考慮した品物とふさわしい加工は、リフォームする我々の心に響きます。

洗い張り後、別に染めた明るめの八掛を使い、モダンな小紋になりました。

今回の私の作業は、音楽に例えれば編曲、アレンジのようなもの。
当初に関わった染色と仕立ての職人さん、そしてプロデュースした呉服屋さんに敬意を表します。

呉服三輪屋 〒164-0012 東京都中野区本町2-54-17
代表者   三輪 一夫

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